死なない子供、荒川修作

古いブログを消す前に、自分に重要なものをいくつか選択して載せる事にしました。

(2011年6月2日)
荒川修作さんが昨年お亡くなりになられた事を、先日の5月19日のご命日に知りました。
何日か前に、美大時代に受けた荒川さんの講義のノートが出てきて、その時に受けた衝撃を思い出している所でした。
ノートとは、立花義遼先生の心理学の講義に荒川さんがゲストでいらっしゃった時のものです。
立花先生の講義はとても人気があり、大きな講義室が何時も満席だったのですが、荒川先生がいらしゃった時は、本当に人が溢れ出しそうでした。
 酸素が薄い空間で濃厚なものを飲み込んだ、その苦しさと興奮は今でも忘れていません。
2時間程の講義の中で、もの凄い回数で思考の分裂と再生があった様に感じます。
私のノートは「宇宙人?」から始まり、「宇宙人ではない。」と終わっていました。
この時の"宇宙人"とは、"意味不明な事を言っている人物"という事です。
 
5月20日に映画館で『死なない子供、荒川修作』を観てから、5月29日に三鷹市大沢に在る『三鷹天命反転住宅』を体感してきました。
『死なない子供、荒川修作』は『三鷹天命反転住宅』を中心に、「人は死なない」と断言した男と 、「死なない家」に住んだ人々の生命記録。
そして、美大で受けた講義の内容と映画の内容を考えながら気合いを入れて『三鷹天命反転住宅』に入ってみたわけですが、傾斜がある凸凹の床と球形の部屋に身体(運動機能)が戸惑い、全く余裕が無くなってしまいました。
唯一冷静に考えたのは、計算され用意された空間の使い方だと思います。
常識ではないから、室内に居た子供も大人も皆同じ状況。
しかし少しの時間が経つと、子供達は空間を使って遊び始め、自分は身体が空間に順応していくのを感じ驚きました。
「ここに住むと身体の潜在能力が引き出され、人間は死ななくなる」という荒川さんの考えの、断片を拾う事は出来た様な気がします。
よくよく考えてみると、建物は全て自然の環境と良く似ているのです。
 
私なりに解剖をしてみて思う事は、荒川さんが考える「死なない。」とは、生命活動としての終わりの事では無いと言う事です。
ただ、私にも常識が刷り込まれているので、感情とか、別の切り口から切り返されたとしたら、何もわからなくなってしまうと思います。
出来れば何日かショートステイして、じっくり向き合ってみたい。
一体、私は荒川さんに受けた衝撃を何にかえられるのか、折角このような機会に出会えたのだから、もっと知りたいのです。
 
また、上映後に山岡監督と本間桃世さん(荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所代表のトークショーがありました。
この時ある方の「今回の震災に対して荒川さんはどうされていたと思いますか?」という質問がありました。
お二人は「すぐにでも現地に行って動いています。」とお応えになりました。
誰もが納得した答えだったと思います。
日本人は規律正しいのは確かに美しいけれど、それだけでは自の意志は薄れ、いずれ醜さに変わるのではないでしょうか。
荒川さんの言葉を思い出すと、私達はもっと積極的に動かなければないと言われている様です。
(まとまりのない文章でごめんなさい!)

最後に荒川修作さんのお言葉
どれぐらい間違っているか知ってる?徹底的に間違ってんだよ、人間の生き方は。僕が使うボキャブラリーは、一つも君たちには理解できないだろうね。人間がいまだに戦争をしたり、人を殺したりするのはどうしてだか知ってる?この地上にはなんの楽しみも、なんの希望もないからだ。全部希望をぶった切られたんだよ、全部。もう一つも残ってない。ここ(三鷹天命反転住宅)に住んだら人間は死なない。死ねないって言ってるんだ。この地上で死んだやつは一人もいない。人間が永遠に生きるってことを発見したんだ、俺は。
僕は新しい科学者なんだ、最初から。生まれて5歳ぐらいから。芸術家になろうとしたらまず科学者になることだね。一体あたえられたものってなんだ。私ってなんだ。細胞のなかの水と外の水はどれくらい違うんだ。俺は5、6歳から学んだね、それを。そうでなかったら、いま俺が言ったようなことが言えるかよ。人間は死なないんだ、死ねないんだと言ってんだよ。

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